元気よく喋り出す二人を笑顔で見つめてから、フェオドール似の男性は小鳥に向き直った。

「初めまして…は語弊になるのかな。いやでも、面と向かって話すのは初めましてだよね」

聞き覚えのある穏やかな低音ボイス。

「私がジェラルド・クラヴィエだよ。君が小鳥ちゃんだね?」

「はっ、はい!櫻井小鳥です!」

緊張し過ぎたせいか、小鳥は慌ててソファーから立ち上がった。

すると、にこやかな表情でジェラルドが言う。

「座ったままで構わないよ。楽にしなさい。私達は家族なんだから」

「は、はい…」

恥ずかしさに赤くなりながら再びソファーに腰掛けた時、居間のドアが開いた。


「あ、親父だ。お帰りー」

入って来たのはカロン。

いきなり現れた父親にさして驚きもせず、小鳥の隣に座る。

「うーん、いつも通りカロンはリアクションが薄いなー。つまらん」

やれやれ、という風に肩を竦めてからジェラルドは息子三人と小鳥の顔を見回した。

「というか、私がどうしてわざわざ一人で苦労してフランスからやって来たのか誰も尋ねてくれないのかい?」