尚も黙り続ける静理に苛立ちを覚えたのか、相手は懐からムチを取り出した。
それを目にした静理の顔から血の気が失せる。
(また、俺は……)
ヒュッと音を立てて振り上げられるムチ。
(被支配者なのか…)
次いで響く怒声。
「オラッ!!返事をしろってんだ化けもんがっ!!」
過去のトラウマに縛られ動けない静理は、目を見開いたままムチを受ける覚悟を決めた――のだが。
「静理さん!!!!」
不意に抱きしめられた。
続いて、ムチが身体を叩くビシッという不快な音。
「小、鳥…ちゃん…?」
彼を抱きしめたのは食糧品売り場へ行ったはずの小鳥だった。
「うっ…!」
彼女は背中に荒いムチを受け、静理の耳元で呻く。
呆然となる静理。
そんな彼に、少女は優しく問い掛けた。
「静理、さん…。大、丈夫…ですか…?」



