薄暗い廊下を並んで歩く金髪兄弟。

なかなか引かない熱と顔のにやけをどうにかしようと努めながら、ルカはふと思ったことを呟いた。

「珍しいな、フェオが呼びに来るなんてさ」

「そうか?」

「そうだよ。いっつもフェオが呼ばれる側だろ?」

「……そうか」

感情の読めない無表情で答えるフェオドール。

兄の端整な横顔をチラリと見たルカだったが、それ以上は会話をしなかった。

無口で、常に一定の温度を保ち、何を考えているのか他人に覚らせないフェオドールの腹を探ろうとするなんて無茶というものだ。

邪魔に入ったのは偶然か故意か。

故意であったなら理由は何なのか。


(深く考えたくもねーよ…)


軽い溜息と一緒にルカは憂鬱を吐き出した。