EGOISTIC狂愛デジャ・ビュ



 キッチンに行きたくて部屋を出ようとしたら、ルカがいた。

「ハァ……」

部屋に逆戻りした小鳥はドアを背にへなへなと座り込んだ。

会いたくない。

どんな顔をして会えばいいのかわからない。


(ルカさん……ごめんなさい)


傷ついた表情をさせてしまった。

自分の態度を振り返り、小鳥は泣きたくなった。

彼は悪くない。

悪いのは、卑怯な態度を保っている自分。

彼らを避けることで嫌な記憶をなかったことにしようとしている。

しかし、いくら彼らを避けても頭に浮かんでくる映像は変わらない。

涼子の顔。

食糧庫の廊下。

一瞬見えた鉄格子。

赤い台所。

動いていた機械。

血塗れの――。


「いやぁあ!!い、やぁ…」


あの現実を受け入れて、彼らを家族と思えるだろうか。

あの残酷な光景を知っていて素知らぬふりをするのは罪ではないのか。

人として、それでいいのか。


(よくない…!よくないけど…でもっ!)


彼らの闇に目をつぶって、今の生活を続けたい。

そう思う自分もいる。


(どうしよう…私……どうすればいいの…?)


割り切れない心が、苦しい。

苦しさに堪えられなくなり、小鳥は静かに泣いた。