†††


 それは金曜日のことだった。


――プルルルルッ


たまたま居間にいた小鳥は突然鳴った電話に驚いて飛び上がった。

「どうしよう…」

今日は皆、それぞれ仕事や用事があって出掛けているため、この家には小鳥一人。

出るべきか否か迷っていると、唐突に電話が切れた。


(よ、良かった…)


ホッとしたのも束の間。


――プルルルルッ


「っ!?」

再び、鳴り始めた。


(うあ~、どうしよう!絶対同じ人だよ…!)


しつこいということは、大事な用件なのだろうか。

小鳥は思い切って受話器を取った。


「も…もしもし…」

『遅いよ!何回コールしたと……って、もしかしてメスブタ?』

このメスブタ発言のおかげで相手が誰だかわかった。

「オーレリアンさん?」

『ねえ、なんで家畜が電話に出てるわけ?他の奴は何やってんの?』

「今は私以外、誰も家にいなくて…」

申し訳なさそうに言うと、凄まじく不機嫌な声が受話器越しに返ってきた。


『嘘でしょ……最悪』