「なにこれ。僕お邪魔?」

蜜莉がキョトンとした表情で瞬きをした。

「そうだよ。理解したら引っ込みな」

「ふーん…わかったよ。退散してあげる。じゃあまたね、小鳥」

カートを押して蜜莉が遠ざかる気配を感じ、振り返ろうとする小鳥だったが…。

「あっ」

「小鳥、僕を見て」

顎をつかまれ、上向かせられた。

白魔のアメジストの瞳が切なげに揺れる。


「約束だよ…?」


まるで誓いを求めるように、白魔の唇が小鳥の唇と重なった。

触れるだけのそれは、軽いリップ音を立ててすぐに離れてしまう。

しかし、その一瞬が小鳥にはスローモーションのように感じられた。


「フフッ、顔真っ赤」

「あ、あああのっ!見ないで下さい!」


激しく動揺する小鳥を面白そうに見つめてからナイフを拾う。



この後、買い物を続行しながらも、小鳥は隣にいる白魔のせいで始終ドキドキが収まらなかった。