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 カロンを残し、ルカと小鳥は危険な部屋から廊下へ出た。


「………えっ…と」

小鳥の手を握ったまま、ルカが言葉を選ぶように声を出す。


「ま、まだ自己紹介してなかったよな?初めまして…!俺はルカ。よろしく」

「よろしくお願いします。私は…」

「ああ!君のことはわかってるからっ。大丈夫!」

ぎこちない笑みを浮かべるルカ。

照れているのか人見知りなのか、テンパった様子丸出しだ。


そんなハニカミ屋な彼に手を引かれ、真っ直ぐ伸びる細長い階段を下りた。


「荷物、少ないけど…それだけ?」

階段を下りた先にある重たいドアを開けながら、ルカが小鳥のスポーツバッグを見る。

「はい。これだけです」

「へぇ…。物欲ないの?すごいね」

感心したように言われ、小鳥は視線を泳がせた。

「そんなことないですよ。ただ、うちはそんなに裕福じゃないから、物が欲しいなんて言いづらくて…」