「えと……じゃあ…その…“星に願いを”ってわかりますか?」
「ああ…人間の曲だな。それでいいのか?」
「はい!お願いします」
ヴァイオリンの音で聴いたら、きっと綺麗だろう。
そう思ってこの曲をリクエストした小鳥。
そして、その予想は見事に当たった。
ゆったりとした甘いメロディーが歌うように流れ出す。
(わぁ~、これが生のヴァイオリンの音…!)
美しい音色に聞き惚れるも、ふと我に返ってフェオドールを見つめる。
(この状況って、かなり贅沢なんじゃ…)
薔薇に囲まれた秘密の花園で自分のためにヴァイオリンを奏でるイケメン青年。
考えた瞬間、小鳥の顔が真っ赤になった。
(だ、ダメ!邪念は捨てて、音に集中しなきゃ!こんなにステキなんだもん)
この後、目を閉じた結果、フェオドールの感情がこもった甘すぎるヴァイオリンの旋律に耳から酔わされた小鳥だった。



