笑顔で頷くと、椅子を勧められた。
誘われるままに腰かけると、向かいの席にヴァイオリンが置かれていることに気がついた。
「あれは……フェオドールさんの?」
「ああ、俺の仕事の相棒」
フェオドールはヴァイオリンを手に取った。
「仕事の…?ヴァイオリニストなんですか?」
「正解」
「ステキですね。そういえば、白魔さんはピアニストって言ってました。お二人で演奏したりするんですか?」
「するよ。気が向いた時にだけど」
「いいですね。私、楽器演奏なんてできないから、うらやましいです」
小鳥の楽器演奏経験は小学生の頃に習ったピアニカと、中学時代に吹いたリコーダーくらいだ。
お世辞抜きでフェオドールをうらやましく思っていると、突然彼がヴァイオリンを構えた。
「何か、弾いてあげる」
「え!?」
「リクエストはあるか?」
「え!?あの!いいんですか…?」
嬉しい申し出に胸が高鳴る。
「いいよ。だから、リクエスト。あるなら言ってくれて構わない」



