人一人がやっと通れる程度の細長い廊下。
ドアらしきものは一番奥に見える一つだけだった。
真っ直ぐ進むと、小鳥はドアの前に立ち止まり深呼吸。
何があっても慌てない驚かないと覚悟を決めてからドアノブを握る。
そして、恐る恐る押し開けると――甘い香りが鼻をくすぐった。
(うわぁ~!)
中に入って目を見開く。
そこは花園だった。
先程の絵画とそっくりの青薔薇のアーチ。
それをくぐり抜けると、色とりどりの薔薇が栽培されている空間に出た。
花園の中央には白いテーブルと椅子があり、その傍には金髪の青年が…。
「フェオドールさん…!?」
そう。
そこにいたのは薔薇をこよなく愛する男、フェオドールだった。
「ああ……君か」
いきなり現れた小鳥に驚きもせず、フェオドールは微笑した。
「ようこそ。俺の花園へ」
「す、すみません!勝手に入ってきてしまって…!」
「いいんだ。そのために君をあの部屋にしたんだからな」
「え?」



