――ギィー…
ドアが開く音が至近距離で聞こえた。
「え!?」
慌てて振り返り、辺りを確認する。
この廊下にはドアが一つもないはずだ。
(じゃあ、すぐ近くで鳴った今の音は…何…?)
怖くなって顔から血の気が失せる。
ビクビクしながら、もう一度薔薇のアーチが描かれた絵画を目にした時だった。
「え…!?なに…これ」
巨大な絵画がドアのようにこちら側へ開いていた。
否、「ドアのように」ではない。
それは、れっきとしたドアだった。
開かれたその先には真っ直ぐな廊下が続いており、見るからに怪しい。
隠し部屋か何かだろうか。
(これは……行ってみるべき?)
好奇心と恐怖の間で心が揺れる。
(何があるか、わからないけど……)
行ってみたい。
不安より興味が勝った。
小鳥は絵画のドアを通り、ドキドキしながら薄暗い廊下を進んでいった。



