EGOISTIC狂愛デジャ・ビュ



 その日の朝方。

もうすっかり生活スタイルが彼らと同じになってしまった小鳥は就寝前にバスルームへ行こうと廊下を歩いていた。

真っ直ぐ行った突き当たりが音楽室。

そこを左に曲がり…。


「そういえば…」

ここで小鳥はふと立ち止まった。

バスルームへは左が正しいが、あえて右を向く。

「この廊下って、変だよね…」

右側も長く廊下が伸びているが、その間に部屋のドアは一つもなく、しかも突き当たりは行き止まり。

突き当たりの壁には縦長の巨大な絵画が飾られており、この三差路からでもよく見える。


(綺麗な絵…)


好奇心が手伝って小鳥は右側の廊下を歩き出した。

ゆっくりとした足取りで絵に近寄る。

「ステキな薔薇だなぁ…」


美しい青薔薇が咲き誇るアーチ。

まるで本物の花園の入口に来てしまったかのようだ。

小鳥が絵の見せる錯覚に陥っていると――。