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 それから教室に戻ると、白魔と蜜莉が席をとって待っていた。

四人並んで座ると、小鳥の隣に腰かけた白魔がクンクンと擦り寄ってきた。


「どうしたの?」

蜜莉が尋ねると、白魔は怪訝な表情で呟く。


「ん…。血の臭いがする…。カロン、まさか君…」

「あ?」

とぼけたような声を返すカロンに白魔は小さく溜息をついた。

「君さ、僕には吸うなとか言っといて、自分はやらかしたんだ?」

「は?俺よりも先にあんた手つけただろ?」

睨み合う二人に挟まれ冷や汗ものの小鳥。

どうすべきかオロオロしていると…。


「ねえ、あげる」

蜜莉が指で弾いた何かが机の上をスライドして小鳥の前に飛んできた。

「これは…」

「キャンディー。食べるでしょ?」

「あ、ありがとうございます」

「ちなみにミルクソーダ味。おいしいよ」

血の味キャンディーではなくホッとしたが、彼はなぜ人間が食べるキャンディーなど持っているのだろうか。

疑問に思うも、割り込んできた白魔によって質問チャンスはなくなった。


「蜜莉、君さ。どさくさに紛れてなに貢ぎ物なんてしてるの?潰すよ?」

「ウワー。大魔王コワーイ」

「蜜莉、棒読み…」

カロンがボソッと呟いたと同時にチャイムが鳴った。


二限目の講義が始まる。