私を見て急に緊張した顔になって



隣に座ったら明らさまにビクッてなったから、自分からちょっと距離をとった。



知られてしまったからにはもう元には戻れないと思った。



だけど、先輩にはまた笑って欲しいんだ。



いつも私を見ると躊躇いながらもちょっと笑って手を振ってくれた。



それが面白いのと、嬉しいのと、いろいろ混ざって気づいたらユキ先輩に会うのが楽しみになってた。




こんな気持ち、久しぶり



ボーッとしてると桃花が私の顔の前でヒラヒラと手を振った。




「ぬぁ?」




「ぬぁってあんたねぇ。もっと女の子らしい声出しなさいよ。」




桃花には、夜グループに参加してることはまだ話してない。




桃花は高校からの友達だし、

特進科には入れるんだから元は優等生だったんだろうし

話したところで受け入れてもらえなかったら悲しいから




そんな自分に、ちょっと罪悪感



でもいつか話せたらいいなとは、思ってるの




「……最近咳してるみたいだし、帰ったらちゃんと寝るのよ?」




あ、ケホケホ言ってるのがバレてた




「大丈夫大丈夫!私風邪滅多にひかないし!」




「どーだか。学校休まないでよ?」




「うん!」




そう頷いて見せたとき、先生が入ってきて補習が始まった。



窓の外を見ると普通科の人達が下校中




「……ケホッ、ケホッ」




ちょっと探してみたけど、ユキ先輩の姿はどこにもなかった。