あと少しあと少しで分かるのに分からなくなる。
思い出そうとしたらまた頭が痛む。
何故あたしはこんなにも記憶を思い出すのが嫌なの?
…っ。
誰かがあたしの体を揺らす。
「おいっ!」
「…っ。」
あたしは思いっきり耳元で叫ばれたので慌てて目を開けた。
「や、山崎さん?どうしてここに…」
「それはこっちが聞きたいくらいだ。いきなり藤堂さんにお前を連れ戻すように言われたんだ。」
「藤堂さん?…あれ?さっきまで道場にいたんですけど…」
「…行ったのか?」
「はい。土方さんに無理やり担がれて…。強制的にさせられました。」
「…はぁ。痛むところは?」
「え?」
「だーかーらー、痛むところはないのかって。」
山崎さん、怒ってらっしゃいますか?
…あたし何かしましたっけ。
「いえ、ありませんが。」
「なら、なんで道場からここにいるんだ?」
「えっと…土方さんと試合してたんですが、そのあとあたし沖田さんに支えられて…って。沖田さんは?」
「沖田さんは風邪引いてるからここにないない。」
「そうですか。」
あたしがそこまで言って二人の間に沈黙が流れる。
「…歩けるのか?」
「はい。」
あたしはゆっくりと布団から出て立ち上がった。



