「はぁぁ。疲れたぜ…」
藤堂さんは俺の部屋にズカズカと入り座った。
「で、藤堂さん。何かありましたか?」
「鈴が俺の部屋で眠ってるから連れて行ってくれないかなーって。」
自分で出来へんのんか?
俺は心の中で愚痴ってしまう。
「何故俺に?」
「いや、あの…。それがな…」
藤堂さんは何故か目を泳がせてる。
「おーい、平助。早くしないと置いて行くぞー。」
ガラッと勢いよくまた開けられた。
そこにいたのは原田さんと永倉さん。
「待ってくれよ、2人とも!」
「またねぇよ、平助。お前の部屋にいったら鈴が寝ててびっくりしたぜ。まさか、お前…」
「な…!ち、違うってば!しんぱんっあん、変な事言わないてくれよ。」
顔を真っ赤にさせて必死に否定する藤堂さん。
確か藤堂さんは女が苦手だったような
俺と斎藤さんみたいに女嫌いではなく、話したりするのがどうしても苦手なんだとか。
「ま、平助は初だからな。」
「左之さん、それ助言になってないってば…」
しゅんと、藤堂さんは落ち込んだ。
それほど初って言われるのが嫌だったんだな。
「とにかく早く支度しないと本当に置いていくぞ。日も暮れて来たし。折角外出許可がもらえたっていうのに。」
「そうだぞ、平助!早くしないと酒がなくなる…」
あぁ、そういうことか。
藤堂さんは原田さん達と、酒を飲みに行くから俺に鈴のことを託したのか。
それなら沖田さんとかにでも頼べばいいものの。
「って、ことで山崎さん!頼むっ!総司はまだ風邪引いてるし、鈴に移したくはないからって総司は俺に頼んできたんだ!この通りだ!」
藤堂さんは土下座をした
「分かりました。鈴は藤堂さんの部屋にいるんですよね?」



