「鈴ちゃんっ!」
総司が前のめりに倒れる鈴を間一髪で支える。
鈴は目を閉じていた。
気を失ったか。
「鈴ちゃんを運びますね。」
「あぁ、頼む。」
総司は鈴を横抱きにして道場から出て行った。
1人残された俺はさっきの出来事を振り返っていた。
2度目の試合で初めの試合より一段と強くなった鈴。
俺にどんどん攻めてくる。
構えは全く違っていて、攻め方も動き方も見たことのない流派だった。
俺はあれは剣術じゃない、と思った。
鈴の狙いは全て急所だった。
眉間、喉、心臓、手、足…
全て急所に打ち込んでいた。
打ち込むよりかは、流れるような払いだった。