山南さん、いい人です…
「で、どうする?今日は剣術はやめるか?」
「はい。そうします。」
「そうか。今日は副長の部屋にでもいろ。」
「分かりました。」
「そうと決まったら飯を食え。冷める。」
あたしはなるべく早くご飯を食べた。
ご飯を食べた後山崎さんはお椀とかを戻しに行った。
その間あたしは斎藤さんにもらった髪紐で、髪を一つに束ねた。
髪が結えたのでそれに満足すると後ろから声をかけられた。
「髪が乱れてる。」
「…わっ!」
慌てて後ろを向くと山崎さんがいた。
「ほら、後ろ向け。綺麗にしてやる。」
「はい。」
あたしは素直に後ろを向いた。
山崎さんは髪紐をほどくとあたしの髪を手櫛でといていた。
やっぱりくすぐったい。
眠たくなっちゃいます。
あたしはこの心地良さを堪能した。
「ほら、出来たぞ。」
「もう少し…撫でてください。」
「は?」
「髪を触られるの好きなんです。」
「…少しだけだ。」
我儘言ってあたしは少しの間だけ髪を、頭を撫でてもらった。
「切りが無い。」
「もう少し…」
あたしは山崎さんの手を追うように頭を摺り寄せる。
「駄目だ。ほら、行くぞ。」
山崎さんはパッとあたしから離れると、部屋から出た。
「…はい。」
あたしは少し惜しい気持ちになりつつも、立ち上がって山崎さんを追った。



