会いたい。

そこにいたのは驚きを隠せないでいた山南さんの姿が。


「山南さん、すいません。」



「いえ。それよりも何かありましたか?私でよければ話しを聞きますが。」



これは話した方がいいのかな?



あたしが悩んでいると山崎さんが口を開いた。


「実は…」



山崎さんが全部説明すると山南さんは考え込んだ。



「何故記憶を思い出すのが怖いのですか?」



「…少し思い出すと頭が痛くなるのです。それに、何故か思い出すのを拒絶する自分がいるんです。」



あたしは正直に告げた。



すると山南さんはあたしの手を握った。



「怖がってたら前に進めませんよ。あなたは一生記憶のないまま生きて行くのですか?記憶のないまま生きて、後悔をするのですか?」



「後悔するのは…嫌です。」



「なら、記憶を思い出しましょう。そうですね、君の倒れた場所へ行くとか。」



あたしが倒れた場所…



「ご、御所ですか?」



「えぇ、しっているのですか?」



「沖田さんに教えてもらいました」



「なら、話が早いですね。けど今の御所は近付かない方がいいですよ。」



「え?」



「戦いの跡がまだ少し酷いですから。」



「はい、分かりました。」



「さて、鈴さんが落ち着いたところで私は戻りますね。」



山南さんが立ち上がった。



出て行くまえ


「ゆっくりでいいから思い出しましょうね?」



「はい。」



山南さんはあたしに微笑むと部屋からでた。