「…けど、ふふふ。なんだかくすぐった気持ちです。」
この髪飾りを見ているだけで心がポカポカするというか、なんだか安心します。
しばらくあたしが眺めていたら山崎さんがご飯を持ってやってきた。
あたしはその髪飾りを隅に置いてある荷物と一緒においた。
「食え。」
「はい、頂きます。」
あたしは山崎さんからご飯を受け取り食べた。
「なぁ、剣術してみないか?」
突然山崎さんがそう言ったので、動かしてた手を止め山崎さんの方へと向いた。
「いきなりどうしたんですか?」
「…その手、剣だこがあるからやったことあるのかな、と。やったら少しは思い出_____」
「思い出したくないです。」
あたしは持っていたお椀をおき、山崎さんが言い終わる前にそう言った。
我儘なのはわかってる。
けど、嫌なの。
記憶を思い出すのが。
「…駄目だ。思い出してもらわないと。」
「けど、思い出したくないんです‼︎‼︎」
つい大きな声になってしまった。
けど、そんなの気にせずに続けた。
「思い出すのが、怖いんです‼︎‼︎」
「だが___」
山崎さんが、何か言いかけたところに障子が開かれた。
「大きな声を出してどうしました?」



