そのあと土方は何事もなかったように、仕事をし始めた。
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部屋から出た俺は自室へ向かう速度がいつもより早いことに気が付かなかった。
ただ、あいつが心配だった。
逃げないかどうか。
ワォーン
ふとどこからか鳴き声が聞こえ、足を止める。
「狼か?」
ワォーン
一つ聞こえたらまた一つ。
まるで誰かを探してるようだった。
少ししたらピタリと鳴き声が聞こえなくなった。
「珍しいな。」
今までこんな鳴き声とか聞こえなかった
ぼんやり庭を眺めると声をかけられた。
「山崎さん。」
「沖田さんですか?どうしたのですか?」
沖田さんが深刻そうな顔で俺を見ていた。
何かあったんだな…
「聞かれたらまずいことですか?」
「鈴さんのことで少し。」
「そうですか。庭にでも行きませんか?」
「いえ、ここでも大丈夫です。」
すると沖田さんは俺の耳元へと顔を寄せこう囁いた。



