「はい、そうですよ。鈴さんは何故ここに?」
鋭い目つきであたしを睨んできた。
けどあたしには怖さとかは全く感じなかった。
「寝れなかったので。」
「裸足で?」
「履き物がなかったもんで。」
「へぇ…、そうですか。」
「沖田さんは何故ここに?」
「僕も寝れなかったもんで。散歩です。」
沖田さんは月を見上げた。
あたしもつられてまた月を見た。
「そうですか。」
あたしたちは黙って月を見た。
「…鈴さんは本当に記憶がないのですか?」
突然月からあたしへと視線を変え、沖田さんは話しかけてきた。
「はい。自分が一体何者なのかも、自分にとって大切な人すらも忘れてしまったのですから。」
視線を変えずにあたしは沖田さんに伝える。
「本当に何もかも…」
「なら、記憶を思いだすように君が倒れたところに明日行って見ませんか?」
「倒れてた場所…?」
「えぇ。確か…御所の方でしたっけ。」
御所
そう聞いた途端あたしの頭が締め付けるように痛み出した。
「……っ。」
痛みでまたしゃがみ込んでしまう。
「鈴さんっ?!」



