俺はその涙を指で拭き取った。



拭き取っても拭き取っても、涙が零れ落ちてくる。



やがて俺は拭き取るのをやめ、鈴の頭を起こさない程度に優しく撫でた。



お前は何を悩んでいるんだ?



何を謝ってるんだ?



俺の頭の中は鈴への疑問でいっぱいだった。


「……ごめんなさい…。」



「もう、いい。謝らなくていいんだ。」



俺はまだ寝言で謝る鈴にそう囁いた。



「ごめんなさい……」



まるで俺の声が届いてないかのように、鈴は謝るのをやめない。



俺はただそれを聞くだけしかできなかった。



「鈴…」



「…ごめんなさい……」



俺の声と鈴の声が虚しく部屋に響いていた。