「大丈夫じゃ。今のあいつは記憶がない。だから、何聞かれても知らないし、鶫の顔は新選組には割れてないから大丈夫じゃ。」
記憶がなくてももし、拷問とかにでもかけられたら。
相手は新選組。
人斬り集団として有名だったが、最近は前みたいには嫌われてはいない。
あの事件…池田屋での斬り合いの事件からは。
「それでも心配だ。」
「なら、暇さえあればここに来るといい。鶫も暫くしたら手入れしにくるだろう。」
「何故そのようなことがわかる。」
「あいつに言ったのじゃ。暇があれば来いと。」
「……!また、来る。」
俺は微かな希望をかけ、店を出た。
鶫に会えるように、と。