"「違い、ます。あたしは鈴です。鶫ではないです。」"



先程、鶫が言った言葉が頭から離れない。


錆びた刀を手入れしてもらってた、刀屋のじいさんのところに取りに行ったら鶫が居たんだ。



あいつにもらった髪飾りを付けてたからすぐに分かった。



あの御所での後俺たちは懸命に鶫を探したんだ。



けど、見つからなかった。



御所の中は人一人もいない状態だったからな。



やっと見つかったというのにあいつは俺のことを覚えてなかった。



それだけじゃない名前が鈴に変わっていた。


それに、新選組のやつといた。



「…ッチ。むしゃくしゃする。伊藤を連れて島原にでも酒を飲みに行くか。」



「そうはさせないぞ。」



後ろから聞き覚えのある男の声が聞こえる。



振り返り俺は男の名を呼ぶ



「なんだ、有朋か。」



「俺以外に誰がいる。」



「冗談だ。全く、お前はいつも堅いな」



彼は山縣有朋。



俺の補佐みたいな感じだ。



「煩い。それよりお前は、いい加減萩に戻れ。お前が脱藩したと、騒ぎが大きくなってる。」



「もーちょっと。」



「いいから、帰れ。大体お前は___」



「あ、そうだ。」



有朋に説教される前に遮り、話を変えた。



こいつの説教は長いし、面倒いからな。



「あいつ…鶫見つかったぞ。」



俺がそういうと有朋はハッと顔色を変える。



「何処に居たんだ?」



「そこの刀屋。けど___」



最後まで言ってないのに直様有朋は刀屋へと駆けっていった。



「あいつ今記憶喪失…って言おうとしたのに。せっかちだな。くく。」