あたしは斎藤さんに少し微笑むと、斎藤さんに顔を背けられた。



あたしは不思議に思い、斎藤さんの顔を覗こうとしたら背けられ、覗こうとしたら背けられ、の繰り返しをしていた。



「こほん。」



「鈴、この人は?」



「店の…人?」



「そうか。尋ねるが、軽い脇差しはないだろうか。」



「……待ってろ。」



店の人は少し考えると刀を探しに行った。


あ、さっきの人いなくなってる。



「鈴どうしたんだ?」


「いえ、なんでもないです。」



しばらくするとおじさんは刀を一つ持ってきた。



「脇差しではなくこれを使え。」


あたしに渡されたのは鞘に桜があしらってある少し長めの刀だった。



この刀なんだか見たことある。



「この刀はある者での。」



「人のを使ってもいいんですか?」



「いいんじゃよ。お代はいらんから。」



「ありがとうございます。」



あたしたちは一礼して店を出ようとしたらおじさんに呼び止められた。



「鶫…いや、鈴。暇があったら、いつでも遊びに来い。刀の手入れとかもしてやるから。」



「はい、ありがとうございます。」



あたしはもう一度、礼をしたから斎藤さんの方へと向き直った。



「もう、買い物終わったし帰るか。」



「はい。」



あたしと斎藤さんは元来たところへと戻って行った。