鈴を抱きかかえ俺は部屋へと向かった。
向かっている最中鈴は何度も何度も
「…置いて行いかないで下さい。やっと、会えたのに…」
苦しそうな声で寝言を言っていた
俺はそれを聞くたびに心が痛んだ。
だって
「…以蔵さん」
と、知らない男の名前を切なそうに呼んでたから。
「…1人にしないで。」
「そんなん、俺がさせへん。」
鈴の呟きに俺は返した。
あぁ、そうか。
俺は今気づいた。
鈴のことが好きだって…
いつも笑っていて
いつも失敗ばかりしてて
いつも1人でおとなしくしている
いつも辛そうな顔してて
そんなほっておけない鈴が
俺は好きになんなや。