そこには右腕、左腕に所々火傷の後と斬られた痕が無数にあった。
「……っ。」
気付かなかった。
あたしにこんな傷があったなんて。
記憶のあるあたしは何かの事件に巻き込まれた…?
「痛いと思うが我慢しろ。」
そう言うと黙々と山崎さんはあたしの腕に、薬を塗り包帯を巻いた。
あたしは痛みとかよりも疑問が頭の中でぐるぐると駆け回っていた。
火事とか…?
でもこの切り傷は?
い、戦…かな?
うん、あり得るかも。
戦とかだったらこんな傷も出来るし、火事とかも起こってもおかしくない。
けど、なんであたしが戦とかそういうのにいたの?
「…よし。鈴、終わった。」
「あ、ありがとうございます。」
「他に痛むところはないか?」
「いえ。」
「そうか。もう少ししたら、斎藤さんが来る筈だから、それまでここで大人しくしてろ。いいな?」
「はい。」
あたしが返事するのを確認すると、山崎さんは頷き部屋から出て行った。
あ、そういえば。
ここ斎藤さんの部屋なのにいない。