「そのあとわしらは鈴を助けようとしたが、どうも出来んくてな。もし、あそこで鈴を助けたとしても、助けなかったとしても、鈴の記憶が失ったことには変わりなかっただろう。」
「ちょっと待った。あの日って、いつの事だ?」
「……御所が火で燃やされた日だ。」
ぽつりと、擂が呟いた。
「……いや、そんなま、さか…」
「そのまさかじゃ。」
俺は鈴を見た。
スヤスヤと眠っている鈴を見ていたら、俺の思ってることが間違いのように思えてきた。
「鈴はあの御所攻め入りの時参加していたのか?」
「そうだろうな。まぁ、鈴はどちら側かわ分からんが。薩摩、会津側なのか、それとも朝敵となった長州側なのか…。もしくは偶然そこに居合わせて仕方なくしたことなのか…。まぁ、あとはお主自身で考えろ。」
籟はそう言うと狼たちを引き連れて何処かに消えて行った。
残された俺はただ立っていることしかできなかった。



