鈴の頬を軽く叩いて見ても、体を揺すっても、耳元で行っても鈴は起きなかった
仕方なく山南さんに手伝ってもらう事にした。
「こ、これは力強いです、ね。」
いくら山南さんがやっても、二人で力合わせてやってもびくともしない。
「山南さん、もういいですよ。俺はこのままで寝ます。」
「そうですか。お役に立てなくてすみません。」
「いえ、違いますよ。山南さんは悪くありません。布団、ありがとうございます。」
山南さんはもう一度すみません、というと部屋から出た。
山南さんからもらった布団を、座ったままの自分にかけ目を瞑った。
俺は思った。
微かに血の臭いがする。
多分こいつの怪我からだろう。
包帯から血が滲み出ていた。
普通は痛いはずなのにこいつは痛そうな素振りもしなかった。