寝言か?
「ったく、少しだけだぞ。」
「……朝起きるまでっていつも言ってます。」
「いつも…?」
「すーすー…」
けどいくら聞いても寝息しか聞こえない。
俺はどうしてもそこから抜け出したかった。
けど鈴はそれを拒むかのようにすごい力で引き止めた。
女の力ではないな。
むしろ…
ガラ
そんな時誰かが勝手に部屋に入ってきた。
「誰だ。」
俺は障子に背を向けてるから誰だか分からなかった。
「仲が良ろしくて結構です。布団足りないと思って来たみたいですが、要らなかったようですね。」
その声は山南。
「いや、要ります。そしてこいつから離して下さい。」
「冗談ですよ。…はい?斎藤君なら、出来るでしょう?それが無理なら、多少起こしてもよろしいかと。」
「起こす…?その手があったか。山南さん、ありがとうございます。」
俺は鈴を起こすことに決めた。