「俺から離れたらあかんで?」
山崎さんがそう言った。
その時の山崎さんの顔は、何処か悲しそうな顔をしてた。
その時、前見た記憶と重なった。
"もう、どこにも行かないでくれ。"
久しぶりに聞いたあの人の声。
今度はあの人の口元が見えた気がした。
あの人も何処か悲しそうな顔をしてた。
今にも泣きそうな口元。
「だ……だ、だい…」
大丈夫です。
そう言いたいのに、山崎さんに言えない
言えない。
なんで?
なんで?
なんで?
言えない…
「鈴。」
「あ、はい。」
「そろそろ、行かへんと。」
山崎さんはあたしの手を握り、部屋をさっさと出た。