「鈴、入るからな。」
部屋を開けた。
鈴は鏡台に向かって苦戦してた。
髪を結っては、解き。
その繰り返しをしていた。
「で、きない…。」
鏡越しに見える鈴の目は少し潤んでいた
その顔を見て心臓が一つ高鳴った
「鈴。」
呼ぶと鈴は鏡越しで俺を見つけて慌てて、後ろを振り返り俺を見た。
「や、山崎さん。すいません。遅くなりましたよね?今直ぐ行くんで!」
鈴は軽く櫛で長い髪を解くと、立ち上がろうとした。
「もういっぺん、座り。」
そんな鈴を止め、もう一度座り直させた
「はい。」
素直に鈴は座り直す。
俺は鈴の後ろに座った。
鏡越しに鈴と目が合う。
「俺が綺麗に結ってやるで。」
「はい!」
鈴は嬉しそうに俺に櫛を渡してきた。
「山崎さんに髪を結ってもらうの好きです。」
俺だけにか?
なぜか、鈴にとって俺に結ってもらうのは特別らしい。
特別、か。
なんや、ごっつう嬉しいもんやな。



