これは夢なの?



さっきまであの野原にいたような気がするんだけど。



頬をつねると痛かった。



「夢ではないです…よね?」



「夢やないで。」



あれ、山崎さんの喋り方ってこんなんだったけ?



「山崎さん、ですよね?」



「あぁ、そうやで。俺もともと、大坂出身やからな。」



それで話し方に訛りがあったんだ。



「あの、山崎さん?そろそろ離れてもらえません?」



「あ、すまへん…!」



山崎さんはあたしから離れてく。



抱きつかれるのは嫌いじゃないんだけど皆さんがいる前では恥ずかしいですから



「鈴くん。」



近藤さんに呼ばれ、背筋が真っ直ぐとなる



「体は痛くないか?」



「はい。」



「それは、よかった。ところで鈴くんに聞きたい事がある。」



「何でしょうか。」



「記憶を思い出すのは嫌なのか?」



「嫌というより怖いです。どんな記憶なのか分からないですから。けど、あたしはどんな記憶でも受け入れる事に決めました。」



真っ直ぐ近藤さんを見た。



あたしはもう何も恐れたりしない。



どんな記憶でも受け入れると覚悟はもう決めていますから。



「そうか。鈴くんは、もう遠慮なんかしないでいいんだぞ?」



「え?」




「鈴くんは、わしらの仲間なんだからな。辛かったことも、悲しかったことも、わしらが、半分背負ってやるからな?」



「な、かま?」