…多分混乱してるから痛いとか分からないのだろう。
と、俺はその時思った。
「土方さぁーん、もう帰ってもいいのかー?」
大きな欠伸をしながら藤堂さんが副長に話しかける。
「あぁ、いいぞ。な、近藤さん。」
「…あ、すまん。眠たすぎていうの忘れてたな。じゃ、解散。」
局長が言い終わるうちに、藤堂さんと永倉さんは勢いよく部屋から飛び出しかけて行った。
…眠たかったのでは?
俺も局長たちに一礼し自室へと向かった
自室へ向かう途中足を止め、月を見上げた。
かけることのないまん丸な満月が今だ輝いていた。
「鈴か…」
あの時俺は鈴の声が鈴みたいにとても綺麗な声をしてたからそう名付けた。
「鈴…か。」
俺はもう一度呟いた。
もっと鈴の事を知りたい。
けど鈴の事を知ったら駄目だ、って。
頭の中でそう俺に、呼びかけている。
俺はこれ以上考えるのはやめ、再び自室へと向かう為足を動かした。