暗い…



上も下も右も左も、どこもかしこも暗闇に包まれていた。



「……ここはどこなのです?」



音も何も聞こえない。



ただ自分の声が響くだけ。



何時もならあの人の声が聞こえるのに…



そう、いつもの夢なら"鶫"と、声が響くのに今は不思議と聞こえない。



「どこ?どこにいるのです?」



あたしは上下左右も分からないまま歩き出した。



歩けば歩くたびに悲しくなってくる。



それと同時に嬉しいと思ってしまう。



このままここにいたいかも。



記憶を思い出さない方がいいかも。



あたしはふと立ち止まった。



「ずっとここにいたいです…」



あたしがそう呟き終えたと同時にあたりは一面野原へと変わった。