そう言って籟は俺の方に向き翼を大きく広げた。
「今聞いた事を話したくても話すことが出来なくしてやろう。」
「は?」
直様籟は何やらぶつぶつ唱えだした。
それと同時に体中が熱くなって来た。
途端に眠気が襲ってきたが、寝るまいと必死に目を開けていたが限界が来て、俺は意識を手放した。
「…よし。これで終いだ。」
山崎が地面にどさっと倒れる。
「ありがとうございます。」
「礼には及ばぬ。ところであいつは今何処にいるんだ?」
籟がそう言うと華は言いにくそうに口を閉じた。
「言ってみろ。」
「…彼はまだ、牢におります。」
「そうか。」
「籟様、あの子の記憶を消すことを本当に出来ないのですか?」



