「はぁ…、はぁ…」



俺は気を失った鈴を抱きしめ夜の町を駆けた。



「……で、…しを置いて……の?」



時折鈴の寝言みたいなのが聞こえる。



ふと俺の腕が濡れた。



俺は立ち止まって鈴を見る。



「……!」



鈴は沢山の涙を流しながらうわ言のように



「…許さない。」



と繰り返し呟いていた



そんな鈴を見て、俺は屯所の反対の方向へと踵を返し再びかけていった。



副長申し訳ありません



俺はそう心の中で謝った。



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俺は宿を探したが、どこも満室で空いていなかった。



仕方なしに俺は森の中へと入った。



森の中は薄暗くて不気味だった。



直様誰にも見つからない木の根の辺りに鈴を下ろした。



いくら森の中でも不逞浪士らがいるからな。