いくら新選組の隊士だとしても剪の親父の演技はバレないだろう。
だから、大丈夫だ。
「どこに行くぜよ?」
「様子見てくる。」
けど、思いとは裏腹に体は立ち上がって行こうとする。
「気ぃ付けよ。」
「あぁ。」
俺は店の方に走って向かった。
店に着き親父が男と話しているのをみて俺は声をかけた。
「親父、また来た。」
俺はなるベく落ち着いたように話す。
その男にばれないように笠を深く被り直した。
「はて、また来た…とは?」
親父はこちらをとぼけたような目で見る
流石親父だ。
「親父、また忘れたのか?」
なんだかこのやりとりが面白くて俺は思わず笑ってしまった。
「すまんのぅ。」
親父は困ったように笑う。
すると親父の後ろにいた男は
「また、来ます。」
そう言って店から出た。