どれも先が鋭くて触ったら切れそうだった。
店の中は静かで人は誰一人いなかった。
まるで誰も知らないように。
俺たち新選組がいつも贔屓にしてる刀屋とは全く別のところだった。
「すいません…」
「何のようじゃ?」
「……っ!」
俺は驚いた。
先程まで俺の後ろにはいなかったはずなのにいつの間にか後ろに人がいた。
「ここの店に女の人は来ませんでした?」
「……何故そのようなことを聞く。」
「その女の人は実は記憶がないみたいなんですが、こちらの店なら知っているかと。」
おじさんは黙って考えていた。
「…くく。」
突然小さな声で笑い出した。
俺は背筋がゾクリと寒気がした。
「…若いの。」
「はい。」
「すまんが、ここんところわしは記憶が曖昧でのぅ。女の人が来たかどうかも分からんのじゃ。」
先程とは全く雰囲気が違うように、おじさんは困ったように笑っていた。
「親父、また来た。」
すると店の中に人が入ってきた。
「はて、また来た…とは?」
おじさんがその男の人に言うと男の人は溜息をついた。
「親父、また忘れたのか?」
その人も笠をかぶっていて表情は分からないが小さい笑い声が聞こえた。
「すまんのぅ。」
おじさんもまた困ったように笑う。
どうやら、これ以上聞いても時間の無駄だったようだな。
「また、来ます。」
俺はそれだけ言うと店から出た。



