「山崎さん。」


障子の向こうから俺を呼ぶ声が聞こえる



声が女の人っぽいから鈴か…?



いや、鈴は今副長の部屋に居るはずだが



小姓が嫌と言った鈴は、結局副長の小姓となった。



隊士にバレたらいけないから副長の部屋に俺が迎えに行くまで篭ってないといけない



じゃあ、一体誰だ?


俺は開けずに部屋の向こうにいる人に問いかける


「誰ですか?」



「名前は聞かないで下さい。」



意味が分からない。
もしや間者か?



俺は近くに置いてある長巻を手に持った



(長巻:山崎が得意とする長い刀のようなもの)



すると一方的に話出した。



「どうか、あの子の記憶を思い出させないで下さい。そして、あの子の事を探るのをやめて下さい。」



「なぜだ。」



「あの子は____」



言いかけたところでドタバタと廊下をかける音が聞こえた。



「失礼します。」



女の人はそう言った。



それと同時に障子が勢いよく開けられた



「山崎さん!」



「と、藤堂さん?どうしましたか?」



「この前は鈴を連れて行ってくれて、ありがとな!」



「い、いえ。」



俺は手に持っていた長巻を元の位置においた。



「そのお礼と言っちゃああれだけどな。明日俺非番なんだ。だから、明日山崎さんと代わってやるぜ!」



「いや、でも。」



「いいってば!