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それからあたしは休憩時間度に栞理の輪の中に入って行った。


栞理のグループはとても華やかで、流行りものにはすごく敏感だった。


特に化粧品の新しい商品には敏感で、どこのメーカーのグロスが、とか、どこどこのファンデが、という単語が色々な子から発せられた。


そして仲間入りしてわかった事だけれど、川上君に声をかける時間帯があるらしかった。


毎日、休み時間の度に川上君を囲んでいたら嫌われるかもしれない。


そんな配慮をして、川上君と会話をするのは昼休みが主になっていた。


あとは個人個人でちょこちょこ会話をする程度で、川上君の邪魔にならないように気をつけているらしかった。


むやみにキャァキャァ言っているだけではなかった事に、あたしは正直驚いていた。


「そんなルールも、栞理が決めてるの?」


そう聞くと、栞理は頷いた。


「そうだよ。迷惑になって嫌われたら、ファン失格だからね」


「そっか。なんだかすごいね」


改めて栞理のカリスマ性を感じる。


周りから見たらわからない事でも、グループに入れば色々な事が見え始める。


このグループは栞理が王様だ。