「おはよう菜月」


「……おはよう」


栞理の仲間になったものの、仲がいいと言うわけじゃないのでどう接していいかわからない。


「菜月の家ってこのへん?」


「もう少し、向こう」


「そうなんだ。あたしの家はこの道をまっすぐ行った所なんだ。通学路、ここから一緒になるんだね」


「……そうなんだ」


亜耶と通学路が交わるのは、もう少し先だ。


登校中何度か栞理を見かけた事があるが、声をかけた事もかけられた事も一度もない。


2人で並んで歩くのは本当に妙な気分だったけれど、栞理が色々と話をしてくれたおかげで、あっという間に学校に到着した。


あたしに気を使って話をしていたというよりは、自分が話したい事をしゃべっていただけという感じだったけれど、とにかく助かった気分でいた。