家に帰ってからもあたしの脳裏から写真の映像が消える事はなかった。


忘れてしまいたいことほど、何度も思い出して脳内で再生される。


あたしは着替えをしてすぐに自分の部屋を出た。


何かしていないと泣き出してしまいそうだった。


両親に声をかけることもなく、リードを持って玄関を出る。


「菜月、散歩に行くの?」


窓越しに声をかけられてもあたしはお母さんの方を見ずに「行ってくる!」とだけ言い、リリを一緒に大股に歩き出したのだった。