川上君があたしを庇ってくれた翌日、あたしは自分から積極的に川上君に話しかけるようになっていた。


みんなに遠慮していたんじゃ前へ進むことだってできない。


たとえ女子たちから嫌われたとしても、あたしには亜耶がいるから大丈夫だ。


それに、川上君は誰かを特別扱いしている様子でもなかった。


特定のお気に入りの子がいる様子もなく、みんなに平等に優しかった。


だからこそ、一歩でもリードしたいという気持ちになってみんな頑張っているのだろう。


「古川さんはどんな音楽が好き?」


川上君にそう聞かれ、あたしは一瞬にして顔が熱をおびていくのがわかった。


周囲から鋭い視線を向けられるけれど、そんなのちっとも気にならない。


「あたしは海外の曲をよく聞くよ」


「へぇ! なんだか意外だね」


「そうかな?」


「うん。実は俺も海外の曲って結構好きなんだよね。今度一緒にCDショップに行かない?」


みんながいる前で誘いを受けて、あたしは天にも昇って行くような感覚だった。


川上君に誘われた事のある子はまだいないらしく、これってあたしが一歩リードってことだよね!?


と、笑みがこぼれる。