いつも通りの穏やかな口調でそう聞いてくる亜耶。


「だって、昨日亜耶は公園にいたでしょ!?」


「確かに公園にいたけれど……どうしてそれを知っているの?」


亜耶は怪訝そうな顔を浮かべてそう聞いて来た。


まさか、亜耶は昨日の事を覚えていないんだろうか?


「あたしはリリの散歩で公園に行ったの。そしたらリリが走りだして、追いかけて行ったら草むらに亜耶がいたんだよ?」


「草むら?」


亜耶は眉間にシワを寄せて、首を傾げた。


「菜月、何の事を言っているの? あたしは昨日公園で先輩に告白されて、お断りをした後すぐに帰ったよ?」


亜耶の言葉にあたしは唖然としてしまった。


じゃぁ、あたしが公園で見たあの子は一体誰だったんだろう?


茶髪で青い瞳をした生徒なんて、亜耶以外に見た事がない。


「菜月、誰かをあたしと勘違いしたんじゃない?」


そう言い、亜耶はトイレに入って行った。