この街に戻って来た時、懐かしさで胸がいっぱいになった。


思わず涙が出そうになるのをグッと押しとどめる。


「うわ、あの子すっげぇ美人!」


「モデルとか芸能人じゃないか?」


「名前とか、教えてもらいてぇ!」


そんな声が聞こえて来て、あたしは振り向いた。


3人のサラリーマンと目があう。


同時に3人の顔が赤らんだ。


「川上よ」


あたしは3人に聞こえるようにそう言った。


「あたしの名前は川上アナ」


口角を上げて微笑んでみせると、その中の1人が失神してしまった。


気が付けば、あたしの美しさは亜耶を抜いていたのだ。


長い手足に透明感のある肌。


滑らかな髪にアーモンド型の目。


ナンパや告白をされない日なんて滅多にない。