「あぁ。そうだね。ファンの子たちがこっそり教えてくれたけど、気に入らない子をあそこに呼び出していたらしいね」


やっぱりそうだったんだ。


栞理が用意周到に亜耶を呼びだした時から手慣れているように感じていたんだ。


そんな事をしていたから、ケンジ君の事で警察が来た時倒れるほどの緊張状態になったんだ。


あたしはいなくなった栞理の事をぼんやりと思いだしていた。


リーダーシップもあの優しさも、全部演技だったのかな。


もし栞理が派手な子じゃなければ、次のイレモノはあたしじゃなく栞理が選ばれていたかもしれない。


あたしより、栞理が選ばれた方が……そこまで考えて、強く頭をふった。


考えてみてももう遅いことだ。


次はあたしに決まってしまったんだから。


「じゃぁ、あたしは行くね」


「そっか」


「うん」


あたしは川上君に手を振る。


「またな」


「またね」


お互いにそれが何年も先の事だと理解していたのだった……。