ヘビがかみついた場所から血が噴き出す。


男は悲鳴を上げながらその場に倒れ込んだ。


倒れ込んだ男の上に次々とへびが群がり、その肉を引きちぎって食べた。


逃げ遅れた栞理の足首にヘビがかみつく。


ヘビは栞理の足首から下をすべて引きちぎった。


栞理の悲鳴と苦痛に呻く声が鼓膜を揺るがす。


走れなくなった栞理は助けを求めてあたしを見る。


あたしは……その場から動く事ができなかった。


そんなたしを見て、栞理の表情が絶望へと変わる。


自分はもう助からない。


誰も助けてくれないのだと察したのだ。


そんな栞理の腕に、足に、腹部にヘビが群がる。


その光景はまるで、死にかけの虫を運ぶアリのようだった。


そして、ほんの数分で何も残さず、服も骨もすべてを食べつくしたヘビたちが戻って来た。