アタシはイレモノ

「それにね、うちの学校で行方不明になっているのは丸尾先輩だけじゃないんだよ」


「え?」


あたしは栞理の言葉に目を見開いた。


そんな事は聞いたこともない。


「林先輩って、知ってる?」


その苗字には聞き覚えがあり、同時に地味な男の先輩を思い出していた。


林先輩なら少し前に見かけた。


亜耶と一緒に帰っている時、亜耶の事を呼びとめたあの人だ。


林先輩はすごく真面目な性格で、亜耶に話しかけるときもしどろもどろにな

り、顔を真っ赤にしていた。


あぁ、これから亜耶に告白するんだなって、すぐにわかった。


「親がおおごとにしないでくれって学校にたのみこんだからあたしたちの耳には入ってこなかったけど、ちょっと前からいなくなってるらしい」


あたしは栞理の言葉を聞きながら、ぼんやりと草むらで見かけた亜耶にそっくりな女の子を思い出していた。